アトピー性皮膚炎の最新治療である「注射薬(生物学的製剤)」は、劇的な効果が期待できる反面、**「高い」**というイメージが先行しがちです。

しかし、日本の医療制度には**「高額療養費制度」**があり、年収に応じて支払額には上限が設けられています。この記事では、代表的な注射薬「デュピクセント」を中心に、年収別の月額・年間費用の目安をわかりやすく解説します。


1. アトピー注射薬の基本費用(3割負担の場合)

現在、アトピー治療で使われる主な注射薬には「デュピクセント」「ミチーガ」「アドトラーザ」「イブグリース」などがあります。

もっとも一般的なデュピクセントを例に見ると、2024年11月の薬価改定後の費用(3割負担)は以下の通りです。

  • 1本あたり: 約16,000円

  • 1ヶ月(2本): 約32,000円

  • 初回(2本同時に打つ場合): 約32,000円

これに再診料や処方箋料が加わるため、窓口では月々3.5万円前後の支払いになるのが一般的です。


2. 【年収別】高額療養費制度を適用した自己負担額

「月3万円以上は厳しい…」と感じる方も多いですが、高額療養費制度を活用することで、一定額以上の支払いは免除されます。

特に、まとめ処方(自己注射)を行うことで、月額費用をさらに抑えることが可能です。以下は、一般的な現役世代(3割負担)の年収別シミュレーションです。

年収の目安 1ヶ月の自己負担上限額 4回目以降(多数回該当)
約1,160万円〜 252,600円〜 140,100円
約770万〜1,160万円 167,400円〜 93,000円
約370万〜770万円 80,100円〜 44,400円
〜約370万円 57,600円 44,400円
住民税非課税 35,400円 24,600円

ポイント:多数回該当とは?

1年間のうちに3回、高額療養費の限度額に達した場合、4回目からはさらに自己負担上限が下がる制度です。長期治療が必要なアトピー患者にとって、非常に心強い仕組みです。


3. 費用を安く抑えるための「3つのテクニック」

① 自己注射での「まとめ処方」

デュピクセントなどは、安定期に入れば自宅で打てる「自己注射」が可能です。病院によりますが、最大3ヶ月分(6本)などをまとめて処方してもらうことで、その月の支払額が上限に達し、結果的に1本あたりのコストを大幅に下げることができます。

② 付加給付制度の確認(会社員の方)

大企業の健康保険組合によっては、独自に**「付加給付制度」**を設けている場合があります。これがある場合、自己負担が月額2万円や2.5万円を超えた分が後日払い戻されるため、さらに安く治療を受けられます。

③ 医療費控除の活用

1月〜12月の世帯合計の医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすることで税金の還付が受けられます。注射薬の治療を受けている場合、ほぼ確実に10万円を超えるため、領収書は必ず保管しておきましょう。


まとめ:高額だけど「制度」を使えば現実的な金額に

アトピーの注射治療は、一見すると高価ですが、日本の公的制度をフル活用すれば、年収370万〜770万円の層であれば実質的な月額負担を1.5万円〜2.5万円程度(まとめ処方時)にまで抑えることも可能です。

「痒みで仕事や勉強に集中できない」「夜眠れない」という損失を考えれば、検討する価値は十分にあります。