高槻市のまこと皮ふ科です。
保険診療の皮膚科
自由診療の美容外科・美容皮膚科をやっています。

本日はアトピー性皮膚炎の治療についてです。

2026年現在、アトピー性皮膚炎の治療は「注射薬」の登場によって劇的な進化を遂げています。従来の塗り薬(ステロイドなど)だけでは十分な効果が得られなかった中等症〜重症の患者さんにとって、注射薬は「かゆみからの解放」を実現する強力な選択肢です。

本ブログでは、現在日本で使用できる主な注射薬の種類、それぞれの違い、そして気になる費用について分かりやすく解説します。

1. アトピー性皮膚炎の注射薬(生物学的製剤)とは?
アトピーの注射薬は、**「生物学的製剤(せいぶつがくてきせいざい)」**と呼ばれます。
体内の炎症を引き起こす特定の物質(サイトカイン)をピンポイントでブロックするため、従来の飲み薬(免疫抑制剤)に比べて副作用が少なく、高い効果が期待できるのが特徴です。

2. 注射薬の種類と特徴(比較表)
現在、主に4種類の注射薬が使われています。それぞれのターゲットや対象年齢、特徴をまとめました。

薬剤名 ターゲット 主な特徴 対象年齢
デュピクセント IL-4 / IL-13 実績No.1。 皮疹・かゆみの両方に強力。生後6ヶ月から使用可能。 生後6ヶ月〜
アドトラーザ IL-13 デュピクセントに近い効果。結膜炎などの副作用が出にくいとされる。 12歳〜
ミチーガ IL-31 「かゆみ」の伝達をブロックすることに特化。ひっかき傷を減らす。 6歳〜
イブグリース IL-13 2024年に登場。アドトラーザ同様、IL-13を重点的に抑える。 12歳〜

どの薬を選ぶべき?
トータルで治したいなら: 実績が豊富なデュピクセントが第一選択になることが多いです。
目が弱い(結膜炎が心配)なら: IL-13のみを狙い撃ちするアドトラーザやイブグリースが検討されます。
とにかくかゆみを止めたいなら: かゆみ専用のミチーガが選択肢に入ります。

3. 治療にかかる費用と「高額療養費制度」
注射薬の唯一のデメリットは、薬剤費が高価であることです。しかし、日本の公的医療保険制度を活用することで、実際の支払額を抑えることが可能です。

3割負担の場合の目安(薬剤費のみ)
1回あたりの自己負担: 約15,000円〜19,000円前後

通常、2週間に1回(月2回)の投与が必要なため、月額では約3万〜4万円ほどになります。

費用を抑えるポイント
高額療養費制度: 1ヶ月の医療費が上限額(年収により異なりますが、一般的な現役世代で約8万円〜)を超えた場合、超過分が払い戻されます。
自己注射の活用: 医師の許可があれば自宅で打てる「自己注射」に切り替えられます。3ヶ月分まとめて処方してもらうことで、高額療養費制度を適用しやすくなり、年間コストを大幅に下げることが可能です。
付加給付(健保組合): お勤め先の健康保険組合によっては、さらに独自の助成がある場合があります。

4. 注射治療を始めるための条件
誰でもすぐに注射を受けられるわけではありません。一般的に以下の条件を満たす必要があります。
中等症〜重症: 従来のステロイド外用薬などを適切に使っても、症状が十分に改善しない場合。
一定期間の治療歴: 半年以上(薬剤により異なる)の標準治療を行っていること。
皮膚科専門医による診断: 注射薬を取り扱っている医療機関での受診が必要です。

まとめ:アトピー治療は「抑える」から「治す」へ
アトピー性皮膚炎の注射薬は、これまでの「かゆくなったら塗る」という対処療法から、
**「炎症の根源を断ち、健やかな肌を維持する」**という新しいステージへ治療を引き上げました。

費用面で不安がある方は、まずは主治医に「高額療養費制度を使った場合の自己負担額」について相談してみることをおすすめします。